プロレクト代表の武田です。

第1弾「転落編」 では、自社オウンドメディアで AI 生成記事を量産した結果、検索流入が 63% 落ちた ことと、その背景にあった 判断ミス を、データと一緒に書きました。

第2弾の本記事で書きたいのは、そこから先の話です。

落ちている事実を確認して、原因の仮説を立てて、最初に取った行動。それは新しい記事を書くことではなく、38 本の記事を一気に noindex にする ことでした。

用語辞典シリーズ 33 本と、AI Overviews / ChatGPT に飲まれた 5 本。あわせて 38 本。10 万字を超える既存資産を「いったん検索結果から外す」と決めるまでに、社内ではいくつかの議論がありましたし、ボタンを押す瞬間には正直、手が止まりました。

この記事では、その「捨てる」判断のプロセスを、できる限り生のまま書きます。どの記事を、どの基準で外したのか。なぜ書き直しではなく noindex を選んだのか。実装はどう進めたのか。そして適用直後に何が起きたのか。

数字も判断ロジックも、社内で実際に使ったものをそのまま出します。同じように「BtoB の自社メディアが伸びていない」「AI Overviews 後に変化を感じている」と思っている方の判断材料になれば。

「捨てる」決断のリアル ── ボタンを押す前に止まった理由

最初に正直なことを書きます。38 本の noindex 適用は、決めた後にも、しばらく実行できませんでした

判断軸はもう揃っていました。第1弾で書いた通り、検索クリックが大きく減っていることはデータで確認できていましたし、減り方には共通のパターンがあると見立てていました。AI 生成記事の量産で類似コンテンツが増え、自己カニバリで順位が割れている。AI Overviews が直接答えを返してしまい、クリックが減っている。事実認識のレベルでは、社内で異論はありませんでした。

それでも、ボタンを押すのに 2 日かかりました。

理由はいくつかあります。

ひとつは、書いた記事に対する素直な惜しさです。用語辞典シリーズだけで 33 本、合計 約 158,000 字。ChatGPT 関連や MBA フレームワーク系の記事は 1 本あたり数千字、長いものでは 10,000 字を超えています。執筆に使った時間と、社内で議論した時間。それを「いったんなかったこと」にする決断は、頭で正しいと分かっていても、手が止まる種類のものでした。

もうひとつは、復帰が難しいかもしれない不安です。noindex を適用すれば、Google からは数週間〜数ヶ月かけてインデックスから外れていきます。一度外れた記事は、再度 index 登録を申請しても、元の評価がそのまま戻ってくる保証はありません。「この判断、もう少し待つべきかもしれない」という声が、自分の中から何度も出てきました。

3 つめは、サイト全体の流入がさらに落ちることへの怖さです。38 本の合計クリック数は、6ヶ月前の同期間で 486 クリック。直近 3ヶ月で 197 クリック(後述)。決して大きな数字ではないものの、サイト全体への影響はゼロではありません。減るのが分かっている動きを、自分の意思で取るということに、抵抗がありました。

最終的に決め切るために自分に問い直したのは、次の問いでした。

「この 38 本を残すと、これからのサイト全体の主張がどう聞こえるか」

残せば、AI で量産した薄いコンテンツと、用語辞典のような構造的役割が終わったコンテンツが、サイトのなかに同居し続けます。一方で、これから書きたいのは「受注導線の中で機能する記事」です。新しい主張を立てるとき、過去の薄いコンテンツが視界に入っていることそのものが、判断の濁りになる。そう思ったときに、「外す」が動きました。

5月8日の夜、自宅の作業スペースで、noindex対象の記事リストを何度も見返していました。

頭では、やるべきことは分かっていました。検索流入が落ちている以上、役割の曖昧な記事を残し続ける方がよくない。

ただ、ボタンを押す直前、手は一瞬止まりました。

数年かけて積み上げた記事を、自分の判断で検索結果から外す。BtoBマーケティングを支援する立場として、正直、恥ずかしさもありました。

実際に押してみると、作業自体は呆気ないものでした。画面上のクリック1つで、38記事が検索結果から外れていく。こんなに簡単なのか、と少し変な感覚もありました。

押した後はすぐ次に進めず、しばらくSearch Consoleの画面をぼんやり眺めていました。

翌朝、Search Consoleを開くのは少し怖かったです。数字を見るのが怖いというより、自分が下した判断が、画面上の数字として突きつけられるのが怖かったのだと思います。

用語辞典の役割が終わった話 ── 33 本一括判断の根拠

38 本のうち最大の塊が、用語辞典シリーズ 33 本でした。「マーケティング用語を解説します|『あ』から始まる用語編」から「『ろ』から始まる用語編」まで、五十音順に整然と並んだ、合計 約 158,000 字 のコンテンツ群です。

用語辞典は BtoB のオウンドメディアでよく見かける構成で、私たちも 2023 年に 1 シリーズとして整備しました。当時の意図は明確で、サイト全体の網羅性を担保し、用語起点の流入を取る ことでした。

問題は、2026 年現在、その役割は構造的に終わっていたということです。

用語辞典のクリック数推移(38 本中 33 本の合算)

377 → 162(-57%)
用語シリーズ33本の合計クリック数(6ヶ月前 → 直近3ヶ月)
87,416 → 40,019(-54%)
同・合計表示回数
3 本
直近3ヶ月でクリック数 0 になった用語シリーズ(「つ」「と」「へ」)

検索クリックは半年で半分以下、表示回数も同じくらい落ちている。これは「用語辞典のページに辿り着く前に、検索結果上で答えが返るようになった」ということを示しています。

実際、用語の意味を調べるクエリは、AI Overviews がもっとも得意とする領域です。「○○ とは」と検索したとき、Google は記事をクリックさせるよりも、検索結果上で要約を返す方を選ぶようになりました。さらに ChatGPT などの生成 AI に直接聞く人も増えました。用語辞典記事の検索流入は、構造的に減る方向に向かっているということです。

ここで、私たちの判断軸として大事だったのは 文字数の長さは判断材料にならなかった ということです。

文字数 ≠ 価値

12,921字
用語シリーズ最長:「り」(post_id 2160)
1,434字
用語シリーズ最短:「る」(post_id 2163)

最長は「り」の 12,921 字、最短は「る」の 1,434 字。文字量に 9 倍の差がありますが、**どちらの記事も判断は同じ「noindex」**でした。

理由は、判定軸が「文字数」ではなく「役割」だったからです。

  • 用語辞典としての役割:AI Overviews と生成 AI の普及で、構造的に縮小
  • 受注導線上の役割:用語起点で来た人が、検討プロセスを進める素材になっていない
  • サイト全体の主張:プロレクトの本筋(受注導線設計)と用語辞典は接続が薄い

3 つの軸でいずれも「価値が薄い」となれば、文字数が 13,000 字でも noindex の判断は変わりません。逆に「文字数が多いから残そう」とすると、サイト全体の主張がぼやけたままになる。これは作り手としての惜しさが判断を歪めるパターンで、第1弾で書いた失敗の延長線上にあります。

「33 本一括」で良かったか

「全部一律はやりすぎでは」という声は社内でも出ました。実際、5-10 クリック取れている記事もあり、ゼロではありません。

それでも一括判断にしたのは、シリーズとしての構造的な役割が同じ だからです。1 本ずつ評価していたら、判断のばらつきが必ず出ます。判断のばらつきが出れば、サイト全体の主張もばらつきます。だったら、シリーズ単位で「役割は終わった」と言い切る方が、サイトの主張は整います。

これは、第1弾で書いた 「個別最適化のループから抜ける」 という発想と地続きです。1 本ずつのデータで判断を積み上げると、サイト全体の主張は積み上がりません。

AI Overviews に飲み込まれた記事 ── 「○○とは?」型の終焉を見た 3 本

用語辞典 33 本に加えて、もう 5 本の記事を noindex にしました。それぞれ書き手としては自信のあったコンテンツで、検索順位もそこそこ取れていたものです。

そのうち、特に象徴的だった 3 本 を、ここで具体的に書きます。「○○ とは?」型の記事が AI Overviews 時代にどう振る舞うかを、データで見せられる事例です。

ケース1:ChatGPTでチームの”考える力”を仕組みに変える方法

43 → 6(-86%)
6ヶ月前と直近3ヶ月のクリック数(順位はほぼ変わらず 6 位前後)
4,937 → 2,099(-58%)
同・表示回数

最初に noindex を決めた記事です。

特徴的なのは、順位そのものはほとんど変わっていない ことです。6ヶ月前の平均掲載順位は 6.5 位、直近 3ヶ月でも 6.6 位。1 桁順位を維持しているにも関わらず、クリックは 86% 減少しました。

これは第1弾でも触れた、**「順位は良いのに、クリックが消える」**現象の代表例です。Google の検索結果に AI による要約が出るようになり、ChatGPT 自体に直接質問する人も増えた。記事に到達せずに、答えが返ってしまうクエリだったということです。

おまけに、この記事のテーマ自体が「ChatGPT」です。ChatGPT について書いた記事が、ChatGPT の普及によって読まれなくなるという、皮肉な構造になっていました。

書き直すべきか迷いました。ただ、書き直しても、クリックの構造は変わらない という見立てに落ち着きました。検索意図がそもそも「素早く答えを得る」ことに寄っていて、長文の記事を読ませる方向に戻すのは現実的ではありません。記事を残すよりも、構造的に役割が終わったと認める方が誠実だと判断しました。

ケース2:OODAループとは?PDCAサイクルとの違いと使い方を解説します

11 → 7(-36%)
6ヶ月前と直近3ヶ月のクリック数
33.6位 → 37.0位
平均掲載順位(さらに低下)

順位 30 位台、クリックも一桁という記事です。元々強くはなかったものの、ここ半年でさらに位置を下げていました。

「OODA ループとは?」のような MBA フレームワーク用語 は、AI Overviews がもっとも得意な領域のひとつです。Wikipedia レベルの定義に短い解説を加えれば、AI が要約を返してしまえばユーザーは満足する。記事ページまで辿り着く動機がほぼ消えています。

加えて、私たちの記事の検索意図は 「OODA ループを知りたい人」 であって、「BtoB 受注導線を設計したい人」 ではありません。仮にこの記事を強化して順位が上がっても、辿り着いた読者がそこからプロレクトの主導線に乗ることは、ほとんど期待できない。受注導線上の役割が、もともと薄い記事でした。

ケース3:アンゾフの成長マトリクスとは?概要や活用のコツついて解説します

18 → 9(-50%)
6ヶ月前と直近3ヶ月のクリック数
33.7位 → 29.4位
平均掲載順位(微改善だが impressions は -54%)

ケース 2 と似た構造の記事です。順位は微改善している一方で、表示回数が 54% 減っている。クエリそのものが、AI Overviews で完結するようになった結果と読めます。

3 本に共通しているのは、

  • 「○○ とは?」型 / フレームワーク解説型のクエリで上位を取りに行ったコンテンツ
  • 順位の上下に関わらず、クリックは構造的に減る方向にある
  • 読者が辿り着いてから受注導線に進む設計が組み込まれていない

という点です。文字数も検索順位も、直接的な打ち手の根拠にはならないということが、3 本のデータからはっきり見えました。

noindex 実装の実務 ── プラグインを使い分けた話

判断が決まれば、実装は短時間で済みます。私たちの場合、38 本一括の noindex 適用は 30 分で完了 しました。

ただし、ここに 1 つだけ詰まったポイントがあります。WordPress の SEO プラグインのメタキーは、REST API 経由で更新できなかったという制約です。

当初の想定:REST API で一括書き換え

最初に組もうとしたのは、Python スクリプトから WordPress REST API を叩いて、各記事の SEO プラグインのメタキー(_yoast_wpseo_meta-robots-noindex など)を一括で書き換える、という流れでした。記事 ID のリストを渡せば、数秒で全件処理できる想定です。

ところが、これがうまくいきませんでした。理由は、SEO プラグインのメタキーが REST API 経由の更新対象として登録されていなかったから。register_post_metashow_in_rest: true を指定しないと、外部から更新できません。プラグインの設定でこの登録を有効化する選択肢もあるのですが、副作用が読みにくく、却下しました。

採用した方法:Code Snippets + wp_robots フィルタ

代わりに採用したのは、Code Snippets プラグインで wp_robots フィルタを使い、対象記事IDの配列に該当する場合だけ noindex, nofollow を返す方法です。WordPress 5.7 以降の標準フックで、ロボットメタタグを動的に切り替えられます。

実コード自体は環境依存があるためここでは省略しますが、ポイントは「SEOプラグインの設定画面を1記事ずつ触る」のではなく、「対象IDを一元管理できる形にした」ことです。プラグインの将来的な仕様変更に引きずられず、ID 配列の編集だけで対象を増減できる運用にしておく、というのが今回の選択でした。

反映の確認

実装直後に確認したのは、ブラウザで対象記事の HTML ソースを開いて、<meta name="robots" content="noindex, nofollow">head 内に出力されているか だけです。Search Console の「URL 検査」でも、Google 側のクロール時の認識を確認しておきます。

実際にインデックスから外れるまでは、Google の再クロールを待つ形になります。早くて数日、長くて数週間。一発でなくなる種類の操作ではないので、適用直後に流入が大きく動くわけではありません。

適用直後に何が起きたか ── 6 日間のデータ

noindex を適用した直後、最初の 6 日間(2026-05-08〜2026-05-13)の Search Console データを共有します。1 週間に満たない短期間のデータですが、適用直後にどの順序で何が動くかは、ここでかなりはっきり見えました。

適用後 6 日間の数値(38 記事合計)

直近 3ヶ月(適用前 89 日)を「6 日換算」に直して、適用後の 6 日と比較しています。

13.0 → 9(-31%)
38記事合計クリック数(pre 6日換算 → post 6日実測)
3,216 → 962(-70%)
38記事合計表示回数(pre 6日換算 → post 6日実測)
2.3 → 0(-100%)
C群5本のクリック数(pre 6日換算 → post 6日実測)
10.7 → 9(-16%)
用語シリーズ33本のクリック数(同上)

数字を眺めて気づくのは、表示回数(-70%)の方が、クリック(-31%)よりも先に大きく落ちている という順序です。これは想定通りで、noindex はまず「検索結果に表示されなくなる(= インデックスから外れていく)」効果から先に出ます。クリックが減るのは、その結果として表示が減るからです。

つまり、noindex の効きは「表示回数の急減」から先に観測でき、クリック減少は遅れて追ってくる。Search Console の「インデックス登録」セクションを並行して見ていくと、検索結果から外されていく速度をより直接的に確認できます。

カテゴリ別の反映スピードの違い

もうひとつ印象的だったのは、カテゴリによって noindex の反映スピードが違う ことです。

  • C 群 5 本:6 日でクリック完全消失(-100%)。順位 1 桁台だった 2938 も含めて、全数 0 クリックに
  • 用語シリーズ 33 本:クリック -16%(10.7 → 9)と、まだ完全消失には至っていない。表示回数では -72% 減少しているので、Google のクロールはどんどん進んでいる途中

C 群は元から個別記事として強度が高くなかった分、インデックス除外の影響が即時にクリックに反映されました。用語シリーズは「サイト全体の用語辞典の塊」として Google が長く扱ってきた経緯があるためか、再クロールの完了に時間がかかっている印象です。「一気に外す」が、すぐに「一気に消える」にはならない、というのは、運用上知っておく価値があります。

H2-2-B 主役 3 本の推移

第2弾の主役として個別に書いた 3 本も、6 日後にはすべて 0 クリックになっていました。

0.4 → 0
post_id 2938 ChatGPTで考える力 (pre 6日換算→post 6日実測)
0.5 → 0
post_id 999 OODAループとは?
0.6 → 0
post_id 536 アンゾフの成長マトリクスとは?

順位データを見ると、いずれの記事も検索順位が悪化方向にずれ始めています(順位 6.6→11.2 / 37.0→48.8 / 29.4→22.6 と、揺れながら下がっていく)。これは Google が「この URL の評価をどう扱うか」を再計算している過程と読めます。順位が下がること自体は、noindex 後は問題ではありません。順位を維持する必要のない記事として、評価から外れていく動きそのものです。

サイト全体への影響

38 記事を一気に外したことで、サイト全体の流入がどれだけ落ちるかは、適用前にいちばん怖さがあった部分です。実際の結果は以下の通りでした。

224 クリック / 21,417 表示(6日合計)
サイト全体 (国/日本含む全域) — 適用後の 6 日間
38 記事の占有率:9/224(4.0%)
サイト全体クリックに占める 38 記事の比率(適用後)

サイト全体としては、38 記事 noindex の影響は「サイト全体クリックの 4% 程度」に収まりました。日別で見ても、5/10〜5/11 はむしろ 51〜59 クリックと高水準で、6 日間の中で底が抜けるような動きはありませんでした。「減ることが分かっていても、サイト全体としては想定よりずっと小さい影響」というのが、6 日時点の結論です。

想定外だった点

想定外だったのは、表示回数の落ち方が思った以上に早かったことです。

noindexを入れても、Googleの再クロールを待つ必要があるため、最初の1週間はそこまで大きく動かないと思っていました。ところが、6日間で表示回数は70%減少しました。クリックよりも先に、検索結果への露出がかなり早いスピードで減っていったのは印象的でした。

一方で、サイト全体のクリック数は想定より落ちませんでした。38記事を一気に外すと、もっと全体の流入に響くかもしれないと思っていましたが、実際には38記事の占有率は4%程度でした。

ここで改めて感じたのは、「惜しい」と感じていた記事が、実際にはサイト全体の成果にはそこまで寄与していなかったということです。怖かったのは数字ではなく、自分の中の執着だったのだと思います。

6 日時点で言えること / 言えないこと

6 日時点で言えること

  • noindex の効きは、まず 表示回数の急減(-70%) に現れる
  • クリックの減少(-31%) は表示減のあとに追ってくる
  • カテゴリ別に 反映スピードに差 がある(C 群は即、用語シリーズは緩やか)
  • サイト全体の流入は、想定より落ちなかった(38 記事のシェアは 4% 前後)

6 日時点ではまだ言えないこと

  • 残された記事の 順位回復カニバリ解消の効果 は、まだ観測できる粒度に達していない(最低 2-4 週間は必要)
  • インデックス除外の 完了 タイミング(用語シリーズの再クロールがいつ終わるか)
  • 「外した記事の元読者」が 他の記事に流れたか / 離脱したか の判断(広告計測との照合が必要)

これらは、第5弾「定点観測編」で 1-2 ヶ月時点・3 ヶ月時点のデータと合わせて検証する予定です。

止血が「次の打ち手」を決める ── 再構築の前提を整える

ここまで「捨てる」を中心に書いてきましたが、止血そのものが目的ではありません。止血は、次に何を作るかを決めるための前提整理 です。

38 本を外したことで、サイトに残った記事の輪郭が、急にはっきり見えるようになりました。

  • 受注導線の中で実体験を語っている記事:少数だが、書き手の独自性で立っている
  • 比較検討フェーズの素材になりうる記事:もう少し増やしたい
  • 社内検討(稟議突破)フェーズの素材:圧倒的に不足している

外したものが視界から消えると、何が足りていないか が、それまでよりもクリアに見えるようになります。「全部薄い感じがする」だった時には、優先順位が立てられなかった。残った記事を見渡すと、補強すべきポイントが少数に絞れる。これが、止血の最大の副産物だったと思っています。

第1弾で書いた、「個別最適化のループから抜ける」 の続きです。記事単位の改善ループに戻る前に、まずサイト全体としての足りないところを見直す。優先順位が立つだけで、新しく書く記事のテーマ選定の精度がまったく変わります。

第3弾「再構築編」では、ここで見えた「比較検討と社内検討の素材不足」をどう埋めるかを書きます。

自社で再現する場合のチェックリスト

ここまでの判断と実装を、自社で再現する場合の手順を、チェックリスト形式で整理します。「何から手を付ければいいか分からない」という状態から動き出すための、最小セットです。

Step 1:止血の対象を決める(半日)

  • GSC で 「期間比較」 を開き、6ヶ月前 vs 直近 3ヶ月でクリック数の変化を出す
  • 各記事を 役割で分類 する:用語辞典 / 「○○ とは?」型 / フレームワーク解説 / 実体験 / 受注導線
  • 「役割が構造的に終わった」グループを抽出する(多くの場合、用語辞典 と 「○○ とは?」型)
  • シリーズ単位で「役割が終わったか」 を判定する。個別記事の数字は二次資料

Step 2:判定軸を 3 つに絞る(30 分)

  • (a) このグループの構造的役割は、AI Overviews / 生成 AI の普及で減るか?
  • (b) このグループの読者は、サイトの主導線に進む可能性があるか?
  • (c) このグループの存在は、サイト全体の主張を強めるか / 弱めるか?

(a)(b)(c) のどれか一つでも明確に No が出たら、対象に入れて構いません。3 つとも判断がつかないなら、いったん残して後日再評価します。

Step 3:noindex を実装する(1 時間)

  • WordPress なら Code Snippets + wp_robots フィルタで、ID 配列を指定
  • Astro / Next.js などの静的サイトなら、frontmatter の noindex: true フラグで制御
  • 実装直後に対象記事のメタタグを目視確認、Search Console の「URL 検査」で 1〜2 件サンプル確認

Step 4:1 週間後に観測する(1 時間)

  • GSC で適用前 vs 適用後のクリック数推移を比較
  • 残された記事への影響(特に同テーマで上位だった記事の順位変化)
  • インデックス済み件数の減少シグナル

Step 5:3-4 週間後に再評価する(半日)

  • 「捨てた記事のクリックが完全に消えたか」「残された記事への影響は限定的か」を確認
  • 想定外の影響があれば、対象を絞り直して再適用 or 部分復帰
  • ここまでで止血は一段落、再構築フェーズへ

判断に迷うときの最後の問い

この記事を残すと、これからのサイト全体の主張がどう聞こえるか

イエスと言えない記事を残し続ける理由は、たぶん感情の中にしかありません。

プロレクトはこれから何を提供するのか ── 止血の先にある設計の話

第1弾でも書いたように、私たちが事業として提供しているのは、BtoB 企業のホワイトペーパー、ウェビナー、SEO 記事、営業資料を、それぞれ単体ではなく受注導線上の役割として設計・再設計する 作業です。

「コンテンツを作りたい」というご相談に対して、まずお聞きしているのは、そのコンテンツが、誰のどの検討段階で、何を進めるためのものか です。役割が決まらない限り、制作には入りません。

今回の止血の経験から、より強くお伝えしたいことが 1 つあります。

「捨てる」設計と「作る」設計は、同じレイヤーの判断です。

サイトを伸ばすために何を作るかを考えるとき、何を捨てるか を同じレベルで設計しないと、どれだけ作っても主張はぼやけます。私たち自身、第1弾で書いたように、量産で薄まったサイトを抱えていた状態から、まず捨てることでようやく主張が見えるようになりました。

同じ悩みを持つ会社──「コンテンツを増やしてはいるけれど、商談につながっている実感がない」「過去のコンテンツを残すべきか捨てるべきかの基準が立たない」──の伴走者として動いています。サイトの足し算と引き算を、受注導線上の役割を起点に整理する ── それが、いま私たちが提供している設計の核です。

最後に:論点整理から始めてみませんか

「増やす」前に、「残すべきもの」と「外すべきもの」を整理する。

BtoBのコンテンツ施策では、この順番を間違えると、作るほどにサイトの主張がぼやけていきます。

プロレクトでは、30分の無料相談で、現状の施策がどこで詰まっているかの論点整理を行っています。過去のコンテンツをどう扱うべきか、何を残し、何を作り直すべきか迷っている方は、まずは論点整理からご相談ください。


本記事は、5部構成シリーズの第2弾です

第3弾では、止血の後にどう 再構築 するかを書きます。AI Overviews 時代に新しく組んだ記事制作プロセス、判定軸、そしてシリーズ運用のルールを、具体的な手順で公開予定です。

  • 第3弾:再構築編 ── AI Overviews 時代の新しい記事制作プロセス
  • 第4弾:仕組み化編 ── AI に何を任せるかを決めるルールブック
  • 第5弾:定点観測編 ── 38記事 noindex・用語辞典統合の効果検証

シリーズを通して、私たち自身の試行錯誤の過程を、できる限り生のまま公開していきます。